お墓のお掃除をしていて、「建てられてすぐの時はとてもきれいだったのに、どうして汚れてしまったの?」「お掃除をしてきれいになったこの状態をキープしたい!」と思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか?今回は、お墓掃除の手順や方法、お掃除の際の注意点、きれいなお墓を保つポイントについて解説いたします!

 

なぜ墓石は汚れてしまうの?

そもそも、なぜ墓石は汚れてしまうのでしょう?

完成したばかりのお墓は、とてもきれいですよね。使用している石の良し悪しに関わらず、お墓の石は最後にきれいに磨かれた状態になっているので、ツヤもあってとてもきれいです。ところが年月が経つにつれ、お墓の石は汚れていってしまいます

要因はいくつかあり、主に挙げられるのは日光などです。雨の中には空気中のホコリや細かなごみ花粉などが含まれているため、雨が乾くとそれが墓石に付着してしまいます。また、周りに植物の多い環境にあるお墓は、雨だけでなく空気中に植物の種や胞子などが舞っているのでそれが直接付着します。

そうしたことが繰り返されて、汚れは溜まっていってしまうのです。つまり、年月が経てば経つほどお墓の汚れは溜まっていき、周りに植物が多いなど環境的な要因で、より溜まりやすいケースもあります

 

お墓掃除の時期や頻度

お墓掃除は、この時期にしなくてはいけないというような特別な決まりはありませんが、お盆お彼岸の頃にはお掃除をしてお参りされる方が多いです。特に、夏場のお盆の時期は、初夏から夏にかけて雑草が生い茂る時期なので、お墓の草取りに忙しいという方もいらっしゃるでしょう。ただ、夏場のお掃除は炎天下でとても大変ですから、水分補給など体調管理は十分になさってください。

また、お墓のお掃除は、できるだけこまめに行うのがポイントです。家や車のお掃除と同じで、汚れがついてしまってそのままの状態で長い時間放置してしまうと、汚れがこびりついたような状態になってしまうことが多いためです。

そうした汚れの代表は、「水垢」です。水垢は、お墓の石と石の継ぎ目、目地の周りについた黒っぽい汚れです。ほかにも、枯れ葉がお墓の隅の方に溜まって、その上に雨が降り、それを繰り返すと色が移って染みてしまうことも。どちらにしても、掃除をしない状態が長く続けば続くほど溜まる汚れですので、可能ならこまめにお掃除をするのが、お墓をきれいに保つポイントです。

 

お墓掃除に必要な道具、あると便利な道具

ここからは、具体的にお墓のお掃除の準備に入りましょう!

お墓掃除に必要な道具を以下に挙げました。

●ふきん・雑巾
水拭き、乾拭き両方で使用しますので、できれば複数枚あるとよいですね。

●ほうき
お墓周りのごみ、砂などを掃いてきれいにします。

●ごみ袋
枯れた供花や供物などを持ち帰る際に必要です。

●柔らかいスポンジ
墓石のほか、花筒などお墓周りの付属品を洗う際にも使用します。お墓の石を傷つけてしまうことがありますので、研磨剤の入っていないものを使用してください。

●タワシ
亀の子タワシのような柔らかいもの。金タワシなどは、石を傷つけるので避けましょう。


お墓掃除には、特別な道具は必要ありません。基本的なお掃除道具があればほとんどは大丈夫です。ただ、墓地の環境などによっては、竹ほうき(砂利の隙間に入り込んだ落ち葉を掻き出す)や剪定バサミ(植栽のお手入れ)が必要なこともあるでしょう。草取りをされる場合は、軍手もあった方が手を汚さなくて良いですね。

解説!効率の良いお墓掃除の手順と方法

それではお掃除開始です。お墓掃除の手順と、それぞれの方法について解説いたします。

①墓石以外のお掃除(花筒や香皿の洗浄)

まずは、枯れたお花不要なお供物などを下げ、香皿のお線香も取り除きましょう。花筒は、着脱できるものであれば取り外して水場まで持っていって丸洗いができます。スポンジやタワシなどで軽く洗って汚れを取りましょう。

②掃き掃除

落ち葉ごみなど、手で拾えるものは取り除き、掃き掃除をしましょう。雑草もこのときに取り除いてしまいます。ここまでで、家の掃除でいえば家周りのお掃除が終わった状態です。

③水拭き

墓石の表面を水拭きしていきます。しっかりと絞ったふきんや雑巾で拭き上げましょう。強い力で拭く必要はありません。硬く絞った布で水拭きをすることがポイントです。窓拭きと同じ要領で、布が汚れたらバケツの水ですすいで、また硬く絞って拭きます。一般的なお掃除と同じで、上から下への順でお掃除するのがおすすめです。

 

お掃除が終わったら、水鉢にお水を入れてお供物を置き、お花を供えてお参りしましょう。きれいになったお墓に、気持ちよくお参りできますね!

水垢やカビなど、しつこい汚れを取るには?

水垢の場合

お墓についた水垢の例

お墓の汚れの中でもかなりの強敵なのが、「水垢」です。多くの場合、石と石の継ぎ目の目地周りに、黒く帯のようについています。これは少しずつ汚れが溜まってこびりついてしまったもので、一般的な水拭きではほぼ取ることができません。無理に取ろうとすると、石を傷つけてしまうことがあるのでかなりの注意が必要です。

そんな水垢も、プロの手であれば取り除く方法があります。水垢をそぎ落とすような専用の道具でとる方法や、汚れを少しずつ溶かして取り除くクリーニング剤を使用する方法などです。

ただ、石はデリケートなものなので、少しでも使い方を誤ると光沢がなくなってしまったり、傷がついたり、取り返しのつかない状態になることがあります。そのため、もし水垢が付いてしまったら、自分で汚れを落とすことはできるだけ避け、石材店やクリーニングが得意なお店に相談するのがおすすめです。

特に注意したいのは、「メラミンスポンジ」などの研磨剤が入ったスポンジでこすってしまうことです。使い方によっては一時的に汚れがとれるかもしれませんが、石の表面に傷をつけてしまうと、その傷に汚れが入り込んでしまったり、光沢がなくなってさらに汚れが付きやすくなったりすることもあります。できる限り使わないほうが無難です。

カビ・苔の場合

水垢と同様に、カビなどもお墓のしつこい汚れに数えられます。自然に囲まれ湿度の高い状況など、お墓の置かれた環境によっては特に気になるものです。どの程度ついているかにもよりますが、ご自分で取ることが可能そうな範囲であれば、おすすめなのは水洗いで、亀の子タワシのような柔らかいものでこすって少しずつ取る方法です。お風呂のカビ取り剤など、カビ取り専用の洗剤もありますが、こうした洗剤は墓石には適していません。

石は思った以上に水を吸い取るため、こうしたカビ取り剤もかなり吸い込んでしまいます。そのため、石が傷んだり、日にちが経って変色の原因になったりすることもあります。どうしても洗剤を使いたいときは、使う前に十分水洗いして石に水を含ませておき、使用後はたっぷりの水でしっかりと洗い流すなど、自己責任で行うことになります。

墓石のキレイを保つ方法

お墓は建てたときは研磨されてツヤツヤしており、汚れも付きにくい状態になっていますが、年月が経ってくると、お墓の汚れはどうしても避けられません。ただ、あまり間隔をあけずにこまめにお掃除をすることで、墓石のキレイを保つことができます。

特別な道具は必要ありません。汚れたままの状態で長く放置しないことが大切です。きれいに水拭きをするだけで、かなりきれいな状態を保つことができます。お盆以外にも、ご親類が多く集まる時に手を借りてお掃除をするのも良いかもしれませんね。

自分で掃除ができない時は、プロのクリーニングも

体調がすぐれない」「高齢でお掃除が大変」など、ご自分でお掃除をするのが難しいケースもあるかと思います。そんなときは、ご家族やご親類の方にお願いする以外にも、少し費用をかけて専門の業者に依頼するとこともできます。

 

プロのクリーニングであれば、自分では掃除が難しいときに代わって掃除をしてもらえるだけでなく、普段のお掃除では取りきれない汚れを取り除くこともできます。ただ、クリーニングを依頼する業者の選び方は需要です。

これまで見てきたように、お墓の石というものは、耐久性がある反面、デリケートな一面もあります。そのため、石に精通していない業者がお掃除をすると、石には強すぎるような洗剤を使ったり、早く落とすために研磨剤が入ったスポンジや洗剤を使ってしまったりといった事例も見受けられます。一度そうなってしまうと取り返しがつきませんので、業者選びはとても重要です。

おすすめなのは、「クリーニングの実績の多い業者」を選ぶことです。クリーニングを得意としている石材店は実績も豊富で、知識技術も相応にそろっています。そうした石材店であれば、安心してクリーニングを依頼できます。数年に一度など定期的に、クリーニングを含むお墓全体のメンテナンスを依頼することで、お墓をより長持ちさせることも可能です。

墓石掃除 まとめ

今回は、墓石掃除の方法や、きれいな状態を保つポイントなどをご紹介しました。ポイントをまとめると、以下の通りです。

●お墓の汚れは、日光や、に含まれるホコリ花粉などが原因

●できるだけ間隔をあけず、こまめにお掃除することがきれいを保つポイント

●お掃除は、上から下へ。特別な道具は使わず、硬く絞った布で水拭きすれば大丈夫

●無理に汚れを取ろうとすると、石を傷める原因になるので避ける

●必要に応じて、経験豊富なプロにクリーニングを依頼する

お墓は、建てられてすぐの時はとてもきれいですよね。できればそのきれいさをキープしたいものですが、経年の劣化や汚れは、どうしても避けられないものです。ただ、今回見てきたように、少しのポイントを抑えるだけで、いつもきれいなお墓に気持ちよくお参りすることができます。とはいえ、自分でできない時や、汚れが溜まって取れなくなってしまったときは、無理をせずに専門の業者に依頼することもできます。どんな方法であれ、お参りをされる方のため、眠っておられるご先祖様のため、お墓をきれいに保てるとよいですね。