いくらくらいするの?墓石の価格とは?

更新:2022年6月 1級お墓ディレクター寺田良平

batsu「ずいぶん高いお墓を注文してしまったみたい・・・」

batsu「墓石の相場が分からないまま、流れで契約してしまった・・・」

これらは、実際にお客様が契約された後に、ご不安になってご相談をいただいた「お墓の価格」の相談事例です。せっかくお墓をご契約・注文をされたのに、すぐに不安を感じたり、後悔してしまうことは、きっとあなたも避けたいとお考えでしょう。

このような状況を避けるためには、お墓の適正な値段についての知識 をもつことがとても大切です。墓石の価格は、さまざまな条件(下段でお伝えする5つのポイント)が重なって決まります。お墓の価格がどのようにして決まるのか、ポイントを学んで、これから始められるお墓選びの参考になさってください。

それでは、墓石の価格・お墓の相場について、お伝えします。

お墓の費用の相場、金額のめやす

それでは、まず「まわりの人は、一体どれくらいの金額でお墓を建てているのか。」 その、参考になる2020年5月公開の最新データをご紹介します。

思っていたより高いでしょうか?それとも安いでしょうか?墓石の平均価格は、121.83万円(墓地代別)です。 次に、墓地代を除いた、2019年6月~2020年5月までのお墓の購入費用を価格帯別にまとめたものです。

80万円未満の価格帯が30.2%、80万円~120万円未満で28%と、この2つの価格帯で半数以上、約6割弱を占めています。その次が、120万円~200万円未満で31.3%、価格帯別ではこの120~200万円が最も多く選ばれています。全体の約9割の方が、200万円以内のお墓を選んでいる状況です。(墓地代別/参考:お墓案内センター2020年5月公表データ)

 

次に、墓石業界の中でも信頼のおける2団体が発表しているこれまでのデータを見てみましょう。まずはこちらです。こちらも墓地代を除いた、お墓の購入費用を価格帯別にまとめられたものです。

墓石の平均価格は、114.3万円(墓地代別)です。80万円未満の価格帯が34.1%、80万円~120万円未満で32.2%と、この2つの価格帯で約2/3を占めています。その次が、120万円~200万円未満で23.2%。つまり、全体の89.6%が200万円以内のお墓となっています。(株式会社鎌倉新書様が2018年分を公表したデータを参考)最新のデータと、かなり近い数値が見られますね。

 

さらにもうひとつ、こちらも墓地代を除いた、価格帯別のお墓の購入費用の割合です。

こちらのデータでは、お墓の平均相場は、167.3万円(墓地代別)です。やはり100~200万円の価格帯が46.6%と約半数近くを占めているのが分かります。その次が、100万円未満で26.8%。その次が、200~300万円で17.4%、という結果です。(一般社団法人全国優良石材店の会様が2017年に公表したデータを参考)

 

最新の情報と、墓石業界で信頼のおける大きな2団体が公表したデータの3つを見てまいりました。平均費用は121.8万円、114.3万円、167.3万円ということで、少々の開きがあることが分かります。これは、地域性やデータの基となる石材店による違い、お墓が建てられた墓地(公営霊園か寺院霊園か、民間霊園か)の比率によってもたらされていると推測されます。

しかし、そのなかでも明確な共通点が見られます。それは、墓石の価格、もっとも多くの方が求めた費用は、80~200万円である(墓地別)こと。さらに80万円以内(墓地別)で選ばれている方も2~3割いることが分かります。つまり、約8~9割の方が200万円以内でお墓選びをしていることが分かりますね。

 

次に、地域別の墓石購入費用の平均価格についてのデータがありました。

ご覧のとおり、墓石の価格には、地域差があります。最も求めやすい北海道は平均133.8万円。最も高価な九州では222.0万円とかなりの開きがあります。その主な要因の筆頭は、平均価格を算出した石材店による違いが最も大きく、また、地域によるお墓の流行・トレンド(コンパクトでシンプルなお墓を好む地域、立派な大きさで華やかなお墓を好む地域など)の違いだと推測されます。(データ参照:全国優良石材店の会様)

それでは次に、より詳しく、お墓の価格を決める、5つのポイントについて、具体的にみていきましょう!

 

墓石の価格を決める、5つのポイント

墓石の価格(お墓の値段)は、どのようにして決まっていくのでしょうか?じつは、主に以下の5つのポイントによって決まっていくのです。

石材店の指定の有無

(公営や民営など、それぞれの墓地の決まりで、石材店の指定や制限が有るかどうかが変わります。)

お墓を建てる費用、墓石の価格を、最も左右するポイントの一つは、石材店が指定されているかどうか(指定石材店の有無)です。なぜかというと、石材店が指定されている(この石材店に依頼をしてくださいという決まりがある)場合は、自分で選んだ複数の石材店で、自由に比較検討することが難しいからです。

一般的に、公営霊園(自治体運営の墓地)は、石材店の指定が無く、石材店を自由に選べます。また反対に、民営霊園ではほとんどの場合、石材店を指定しています。寺院墓地は、指定がある場合とない場合が混在しています。そのため、全く同じ大きさ、デザイン、石の種類でお墓を建てる場合を考えると、自由に比較検討ができる公営霊園が、墓石の価格がお安くなることが多いです。

石の種類

(国産か外国産、また等級を含めた石の種類)
お墓に使用される石の種類は、国産の石で 50種類以上、外国産の石で 100種類以上もあります。

庵治石

本小松

大島石

国産の石で有名な、香川県産庵治石(あじいし)は最も高価な石として世界的にも有名で、また、神奈川県産の本小松石(ほんこまついし)、愛媛県産の大島石(おおしまいし)、茨城県産の真壁石や佐賀県産の天山石など、全国各地で採掘されている石が50種類以上あります。

 

また外国産の石にも、中国産G623をはじめとする多くの種類。インド産の黒御影の代表格クンナムや同じくインド産のアーバングレー。アフリカ産、ヨーロッパ産、韓国産、アメリカ産、など、世界各地で採れる石材が、100種類以上あると言われています。(例えば、中国産の石だけでも20~30種類はあるでしょう。)

G623

クンナム

アーバン

それぞれの石は、名前はもちろん、性質も異なります。さらに同じ石の名称でも、等級が分かれていることも有ります。そのため、それぞれの石によって、値段が異なっているのです。

よく、ご相談の際にいただくのが、「海外産は安くて、日本産はすごく高いですか?」 という質問です。しかし、ただ今お伝えしたように、石の種類は外国産、日本産あわせて150種類以上あり、また等級が分かれている場合もあります。それぞれに価格がありますので、一概には言えない のが実情です

具体的には、インド産の中でも高価な石材、黒御影として有名なクンナムは、日本産の求めやすい石材よりも高価なります。つまりそれぞれの石材によって価格が異なる、分かりやすい一例です。
※ 2018年現在の、墓石の価格〈石の種類別)の参考としては、中国産白御影石(福建省産の白御影)が、代表的な求めやすい(お安い)石材です。反対に、香川県高松市で採掘される庵治石(細目)が、最も高価な石の代表です。

石の使用量・広さ

(大きくなる=石の使用量が増えるほど、高価になります。)

例えば、下記の2つのお墓をご覧ください。

  

右手の墓石は、一番下の台石(芝台 シバダイ)がついているので、左のお墓よりも全体の高さが高く、さらに石の使用量が多くなっています。つまり、一番下の台石の分、石の使用量が増えれば、比例して、墓石の価格も高くなります。私たちが住んでいる住宅と似ていて、1階建てより2階建てが、コンパクトな家より大きな家のほうが、値段が高くなるのと同じです。

また、これは専門的なことなのですが、使用する石の種類(主に国産石)によっては、石の使用量(大きさ)が 大きくなるにつれて、価格が、より割増しで高くなるケースがあります。世界で一番高価と呼ばれている香川県産の庵治石の細目などが代表的で、墓石に適した大きな石が採取されにくいことが主な原因です。

墓石の加工の有無

(細かい手の込んだ細工が入っているかどうか)

例として、下記の2つのお墓をご覧ください。

 

左側の標準的な和型の墓石に比べ、右側の墓石は、上下の蓮の花の台座(上下蓮華)の加工が入っていたり、花立てや香立の形が複雑(加工が多い)ため、加工費が追加され、高価になります。

また、日本で作られるお墓の方が、中国やインドなど、海外で作られるお墓よりも、職人さんの人件費が高いため、加工の有無によっての価格の差(高くなり方)が、より顕著になります。

墓地の立地(施工費用)

(整備された霊園よりも山の上の墓地の方が施工費がかかります。)

例として、下記の2つのお写真をご覧ください。


左は山の上の墓地で、トラックなどの車を降り、徒歩で非常に細い道を5分ほど歩く墓地です。 右は整備された霊園で、車の停車場所からも近く、通路もフラットで広いという特徴です。

上記、2つの墓地であれば、施工費用は、左(山の上)が高価になり、右(整備された霊園)がお安くなるのは、よくお分かりになると思います。 つまり、施工費用は、お墓を建てる墓地の立地条件(工事のしやすさ)によって、変わってきます。具体的には、下記がポイントになります。

・運搬する距離 トラックなどの車から、お墓を建てる墓地までの距離)
・道の幅 (お墓を据付ける小型クレーンや、運搬する台車が通れるか、階段の有無など)
・建てる区画の周辺状況 (小型クレーンが使用できるスペースがあるかなど)

以上の条件により、施工にかかる労力が変化するため、お墓の施工費は、大きく変化します。

標準的な墓地(立地条件がそろっている霊園など)であれば、建てるお墓の石の量(石材のボリューム)によって、施工費用は計算されます。 この標準施工費に、上記のような立地(工事の難易度)の場合、追加費用が上乗せされるイメージで考えておくと良いです。

 

このように、

1、石材店の指定の有無
2、石の種類
3、石の使用量、広さ
4、墓石の加工の有無
5、墓地の立地(施工費用)

の、主な5つのポイントによって、墓石の価格・お墓の値段は、決まります。 すでにお分かりになられた通り、お墓の価格は、複数のポイント(要因)が、重なって算出されているため、一般のお客様にとっては、より分かりにくく感じられるのだと思います。

 

お墓の価格、値段を明記しないお店が多い訳って?

なぜ、店頭やホームページなどで、価格を明記をしないのか、と複数の石材店の方に聞いてみたところ、

・明記した価格と、見積り時の価格が異なる(墓地の広さや立地条件が異なる)ため、お客様が混乱するといけないので、敢えて明記しない。

・石材店の指定がある霊園は、定価が指定されているため、墓地によって、異なる見積り(価格提示)になることがあるため、明記しない。

という答えが、多くみられました。

つまり、実際のお見積り時に、店頭やホームページで明記した価格と異なった見積りを提示するのを避けたい、という考えの石材店が多いのです。しかし、お客様側からみると、価格の提示を全く行っていない石材店は、すべてが時価表記になっているお寿司屋さんと同じくらいの、分かりにくさ、敷居の高さを感じることもあるでしょう。

お墓の価格を明記する石材店は、増えつつありますが、現状では、まず、いくつかの石材店に見積りを依頼して、比較検討 をするのが、お客様にとっては 最も分かりやすい検討方法 となるでしょう。

 

墓石の価格を判断する際に、注意しておきたいこと

墓石の価格は、多くの方にとって、お墓選びの重要なポイントになるでしょう。しかし、お墓の見積りの金額を比較し、判断する際に、必ず注意をしておきたいことがあります。

それは、墓石の価格だけ で、お墓選び をしないということです。どうしてかというと、墓石の価格だけで、お墓選び、石材店選びをしたために、数年しか経っていないのに、困ってご相談をいただくケースが、増えているからです。

batsu相見積もりをして、一番お値打ちだった石材店で2年前にお墓を建てたけど、そのお店が倒産したらしく、連絡がつかなくなった。
batsu通販の石材会社で、1年前にお墓を建てた。今回、新たに家族が亡くなって、名前を彫刻してもらおうと電話をしたら、「お墓の近くの石材店に依頼された方が安いと思うので、近くに相談してみてください・・・」 と、対応を断られた。

最近、増えているご相談の実例ですが、金額だけでお墓選びをしてしまったがために、建てた後で困ってしまう方が、多く出てきているのです。 もちろん、良心的な費用提案はとても大切なポイントですが、お墓を建てた後も、何かあったときに、いつでも相談ができる、そういった石材店を選ぶことは、価格面と同じくらい、お客様にとっては重要だと思います。

ぜひ、急ぎすぎることなく、じっくりと比較検討をしながら、安心できるお墓選びをおすすめください ♪

このような方は、まずはご相談ください。

● 見積りの価格が、妥当かどうか、分からなくて不安な方
● 墓石選び、お店選びでお迷いの方
● 安心できて、良心的な価格提案のお店を知りたい方

墓石価格のご相談は、中立な相談機関へ

 

 

お墓の価格についてのご相談事例

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神奈川県横浜市立の○○霊園の抽選に当選しました。募集された墓地の中でもコンパクトな、1.6平方メートルという広さです。母の希望で急ぎお墓を検討したいのですが、1件見積りをとると、墓石の価格が150万くらいかかるようです。この値段は妥当でしょうか?

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ご相談ありがとうございます。全国墓石・石材店情報の寺田です。
横浜市立○○霊園に当選され、お墓の費用についてのご相談、承知しました。

1.6平方メートルの広さで、150万円の墓石の価格が妥当かどうかについてですが、まず、お墓の価格を決定するポイントとして、下記の5つがございます。

1、石材店の指定の有無
2、石の種類
3、石の使用量、広さ
4、墓石の加工の有無
5、墓地の立地(施工費用)

ひとつずつ確認しますと、1、石材店の指定は、市立霊園ですのでありません。そのため、比較検討が可能です。 2、石の種類についてですが、ご希望の石の色や種類は具体的にございますか? 3、広さが1.6平方メートル、標準的な墓石本体と外柵(囲い)を基準に考えたいと思います。 4、墓石の加工の有無も標準的なお墓を基準に考えてみます。 最後に、5、墓地の立地ですが、当選された霊園は、傾斜地部分が多いため、標準墓地よりも、少々費用が掛かることが多いと思われます。

以上を基に、墓石の価格について考えてみますと、平均的な相場としては、100万~120万円程度が中心的な費用になると思われます。そして、高価な石の種類を選んだり、墓石に細やかな加工を追加したり、お墓のデザインを大きく(ボリュームのある)にすると、費用がプラスになります。また反対に、コンパクトな大きさ、標準的な求めやすい石材などを選ばれると、費用がお安くなるでしょう。

ですので、一概に、150万円という墓石価格が、現状、お伺いしました情報だけでは、適正であるか、お高いかなどの判断ができませんが、お伝えした方法で、もう一度、お見積りの内容を、ご確認いただけますと、妥当かどうか、ご判断いただけるのではないかと思います。

また、市立霊園ですので、石材店を自由に選べます。ですので、もう1件、別の石材店に相談をし、お見積りをしてもらうことで、比較ができ、より安心・納得してお墓選びが出来られるのではないかと思います。お墓づくりのご参考にしていただければ幸いです。

 

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